免震構造

免震構造とは

免震構造は、地震の揺れから「建物を守る」ということから一歩進み、
地震の揺れを遮ることで「安全な空間を継続する」ということを実現します。

地震による被害は、建物が倒壊すれば人命に危険が及びます。
建物の倒壊は免れても、激しい揺れにより次のような被害が発生する可能性があります。

地震による被害

  • 家具の転倒
  • 照明器具の落下
  • 設備配管の破損
  • ドア枠の変形
  • サッシの脱落
  • 建物躯体の亀裂

免震構造は、人命の安全確保、構造安全性の向上、設備等の機能維持、および非構造部材、
家具、什器類の破損防止の効果があり、建物の機能性を維持し、事業継続を可能にするものです。
より強固なBCP構築のための個別施設の対策として有効な手段です。

地震に備える構造形式

  • 01
    免震構造

    免震構造は、地面と建物の間に免震層を設け、地震の揺れが建物に伝わらないようにするためほとんど揺れません。免震層より上階では、家具や備品の揺れや転倒がほとんどなく、二次災害を避けることができます。

  • 02
    制震構造

    制震構造は、制振装置により地震のエネルギーを減衰(20%~50%)することで地震の揺れを小さくします。制振装置には、ブレス式、壁式、振り子式等、様々な種類があります。揺れは半減するので構造的には有利となり、室内の被害も低減しますが、地震の規模によっては被害が発生します。

  • 03
    耐震構造

    耐震構造による建物は、現行の建築基準法に基づき強度を上げることにより、地震に耐える建物です。地震の揺れは建物にそのまま伝わり、増幅されて上階に伝わります。大地震の際、建物は壊れることなく人の命を守りますが、家具や備品の散乱や転倒は非耐震の建物と同等となります。

施工実績

医療法人社団 哺育会 浅草病院

平成28年5月1日に移転オープンした浅草病院は、地域医療を支える中核病院です。新病院では、地震の際も診療機能を停止させることなく地域の方々を受け入れることが可能なように、災害時医療の体制整備として免震構造を採用しています。免震機能は、水平方向にはゆっくりと動きながら、垂直方向は建物を支え、揺れのエネルギーを吸収しながら元の位置に戻すことが求められます。

所在地
東京都台東区
施工
増岡・大雄・三ッ目建設共同企業体
免震層
基礎免震

浅草病院における免震装置

支承 (免震アイソレーター) :揺れを伝わりにくくし、建物を支える

積層ゴム支承

積層ゴムとは、「ゴム=柔らかいもの」と「鋼板=硬いもの」が交互に重なっています。「ゴムの柔らかさ」によって、地震時に水平方向にゆっくり揺れ、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないようにします。

滑り支承

柱の直下に設置されたすべり材が、特別に表面処理を施した鋼板(すべり相手材)の上を滑ることで、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないようにします。

ダンパー :建物の位置を元に戻す

アイソレーターだけではいつまでも続く揺れを止めることはできないので、ダンパーが抑える働きをします。種類としては、粘性や鋼材などの金属の延性、摩擦の抵抗を利用した「オイルダンパー」「鋼材ダンパー」「鉛ダンパー」などがあります。

エキスパンションジョイント :揺れのクリアランスを安全に確保する

免震構造建築物と他建築構造物を機能的、かつ安全に接続するエキスパンションジョイントです。可動スペースの範囲では、エキスパンションジョイント金物が地震の動きに追従するために動きます(約50cm)。

設備配管 :地震の揺れからライフラインを守る

免震構造では、地震時に建物内と外で大きな相対変位が発生するため、その変位を吸収するための免震継手を配置します。免震継手は、地震の揺れに対しての変形に追従し、配管の破損を防ぎます。

その他の施工実績

鉃鋼ビルディング

所在地
東京都千代田区
施工
大成・増岡共同企業体
免震層
中間免震

AKSビル

所在地
東京都千代田区
施工
竹中・増岡共同企業体
免震層
1階床免震