既存建物耐震改修

建造物の長寿命化対策

地震大国、日本。
大地震による被害を最小限に抑えるため、既存建築物の耐震化への社会的要求が高まっています。地震を避ける事はできませんが、耐震補強で地震被害の抑制が可能になり、レジリエントな社会の構築に貢献します。

耐震 診断

耐震診断が必要な建物(昭和56年以前の設計・建設大臣認定の建物以外)図面が無くても調査が可能です。

耐震 設計

自治体によっては、助成金・補助金(耐震診断、耐震補強設計、耐震改修)を得る事ができる場合があります。(補助を受ける場合は第三者機関での評定が必要)

耐震 基準

昭和56年以前の建物でも診断する事によって耐震基準を満たしている物であると結果が出る場合もあります。

耐震改修について

耐震改修による地震時の事業資産損害の3つのリスク低減

  • 01
    BCP(事業継続計画)

    BCP(事業継続計画)※において、耐震改修により事業の継続・早期復旧を図る事が可能となります。

  • 02
    地震PML

    不動産デューデリジェンスの一指標である地震PML※の具体的低減策として耐震補強を行った場合、保険費用を低減できる効果も考えられます。

  • 03
    耐震診断割引制度

    地震保険について、耐震診断または耐震改修の結果が建築基準法における耐震基準を満たした場合、耐震診断割引制度により保険料が10%割引かれます

BCP(事業継続計画)
地震等の災害や事故などの予期せぬ出来事の発生で事業に支障を来した時、限られた経営資源で最低限の事業活動を継続、ないし目標復旧時間以内に再開できるようにするため、事前に策定される計画

地震PML(地震による予想最大損失額)
地震によるリスクを金額比率で表した数値で、建物の使用期間中で予想される最大規模の地震(再現期間475年相当=50年間で10%を超える確率)に対して予想される、最大の物的損失額(90%非超過確率という)の再調達費に対する割合

建物耐震化の社会的責任

「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の改正において、耐震化の対象となる特定建築物※の拡大を行うなど、建物の耐震化への社会的要求が高まっています。

特定建築物
学校、病院、百貨店等、一定規模以上で不特定多数の者が利用する建築物

阪神淡路大震災 中間階倒壊

耐震改修の進め方

古い建物ほど大きな地震被害を受けやすい事が明らかになっています。
特に耐震基準が大きく変わった1981年(昭和56年)以前に建てられた建築物は、耐震診断が必要です。

  • スタート
  • 1
    予備調査
    1週間程度

    建物の概要を把握し、診断レベルの設定から現地調査で必要になる情報および資料を収集します。建物の概要、設計図書の確認、建物の履歴、建物の外観などについて調査し、耐震診断の費用をお見積します。

    • 現場目視調査
    • 設計図書(有無)の確認
    • 建物履歴の確認
    • 耐震診断の方針検討
    • 診断費用と期間
  • 2
    耐震診断
    3ヶ月程度

    建築物の耐震性能を評価し、耐震補強の要否を判定するのが耐震診断です。「新耐震設計基準」と比べて、どこが弱いか、どこを補強すれば良いかを調べます。

    耐震改修促進法の評定

    • 設計図書との照合
    • 外観調査(ひび割れ・変形・老朽化)
    • 材料調査(コアサンプリング調査)
    • 耐震診断レベル(第1次診断・第2次診断・第3次診断)
  • 3
    補強設計
    3ヶ月程度

    耐震性に問題がある建物は、適切な補強を行うために最適な工法を選定して設計を行います。設計図書を基に、施工の費用をお見積します。

    耐震改修促進法の評定

    • 耐震補強計画・立案
    • 耐震補強設計
  • 4
    改修工事
    3ヶ月程度

    設計図書を基に工事計画を立て、改修工事を行います。

    • 耐震補強工事
  • 終了

    耐震工事が終了すると耐震化された建物となります。

耐震補強の種類

「耐震補強」と呼ばれているものは、技術的に『耐震』『制震』『免震』の3つに分ける事ができます。

耐震補強のタイプ

『耐震』による補強は「建物の粘りや強さ」を補強し、大地震の際に建物が損傷しても人命の安全を確保する事を目標にしています。『免震』と『制震』は、予測される地震に対し、どれくらいその影響を避ける事が可能かといった「目標性能」を指標としているため、より高い耐震性能を求める場合に採用される技術といえます。

耐震補強の工夫

耐震改修では、改修後の建築物の使用性、施工性、工期、コストなどを考慮する必要があります。耐震補強は、既存建築物の保有する耐震性能に応じ、体力の向上、靭性(変形性能)の向上、耐力、剛性のバランスの改善を目的とした様々な工法があり、それらを単独、または複数組み合わせて骨組みの中に配置します。

耐震補強の目的と工法

耐震補強工法実施例

  • 外付け鉄骨ブレース補強
    第一鉃鋼ビル 耐震補強工事
    建物の外側に鉄骨ブレースを増設することにより、容易に補強効果が得られます。
  • RC耐震壁増設
    広島銀行本店 耐震改修工事
    柱・梁に囲まれたフレーム内に耐震壁を増設し、耐震強度を上げるものです。建物全体の耐震強度を上げたり、壁が偏在している建物の剛性バランスを取る事ができます。
  • 連続繊維シート柱補強
    第一鉃鋼ビル 耐震補強工事
    炭素繊維シートやアラミド繊維シートを巻き付けて柱の耐震補強をします。壁付柱や窓枠付柱もCFアンカー(炭素繊維の束)で補強が可能です。
  • 鋼板柱補強
    広島銀行本店 耐震改修工事
    工場生産された成型鋼板をかみ合せ継手により、現場で組み立てます。建物を使用しながらの施工が可能で、高品質・短工期施工で柱補強が可能です。
  • 鉄骨ブレース補強
    広島県立安芸高校 耐震改修工事
    枠付き鉄骨ブレースや鉄骨フレームを柱・梁に一体化させ、開口部を耐震壁にします。室内を使用しながらの、最も標準的な工法です。
  • 鋼材ダンパー制震補強
    広島東区庁舎 耐震改修工事
    鋼材ダンパーブレースにより、早期に地震エネルギーを吸収し、建物の変形を抑え、少ない補強箇所で耐震安全性を確保できる工法です。

耐震改修施工実績

  • 第一、第二鉃鋼ビルディング

    大規模耐震改修
    所在地
    東京都千代田区
    用途
    事務所
    構造
    鉄骨鉄筋コンクリート造
    階数
    第一 地下3階、地上9階
    第二 地下2階、地上9階
    延床面積
    第一 44,903.75m2
    第二 21,376.29m2
    耐震改修工法
    柱炭素繊維補強
    鉄骨ブレース補強
    鉄板補強
  • 宮島小耐震補強・大規模改修

    大規模耐震改修
    所在地
    広島県廿日市市
    用途
    学校
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上3階
    延床面積
    8,645㎡
    耐震改修工法
    鉄骨ブレース補強
    増設壁補強
  • 広島県立安芸高校耐震改修工事

    耐震補強
    所在地
    広島県広島市
    用途
    学校
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上5階
    延床面積
    4,851m2
    耐震改修工法
    耐震壁設置(RC)
    鉄骨ブレース補強(デザインフィット工法)
  • 広島県立福山北特別支援学校

    耐震補強
    所在地
    広島県福山市
    用途
    学校
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上4階
    延床面積
    11,600.28m2(3棟)
    耐震改修工法
    PCアウトフレーム工法
    鉄骨ブレース補強
  • 広島県東広島庁舎本館耐震改修

    耐震補強
    所在地
    広島県東広島市
    用途
    庁舎
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上5階
    延床面積
    5,769.60㎡
    耐震改修工法
    アウトフレーム工法
  • 海田中学校北校舎・中校舎耐震補強

    耐震補強
    所在地
    広島県安芸郡
    用途
    学校
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上3階
    延床面積
    2,366.67㎡
    耐震改修工法
    デザインフィット工法
  • 清心幼稚園園舎耐震改修

    耐震補強
    所在地
    広島県安佐南区
    用途
    幼稚園
    構造
    鉄筋コンクリート造+一部鉄骨造
    階数
    地上3階
    延床面積
    882.26㎡
    耐震改修工法
    デザインフィット工法
  • みずほ銀行鎌ヶ谷支店耐震補強

    耐震補強
    所在地
    千葉県鎌ヶ谷市
    用途
    事務所
    構造
    鉄骨造
    階数
    地上3階
    延床面積
    984.29m2
    耐震改修工法
    KTブレース補強
  • みずほ銀行長津田支店耐震補強

    耐震補強
    所在地
    神奈川県横浜市
    用途
    事務所
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上3階
    延床面積
    1,363.43m2
    耐震改修工法
    鉄骨ブレース補強
    柱鋼板巻
  • 小糸製作所

    耐震補強
    所在地
    東京都港区
    用途
    事務所、共同住宅
    構造
    鉄骨鉄筋コンクリート造
    階数
    地上11階
    延床面積
    7,200.11m2
    耐震改修工法(低層階耐震改修)
    耐震壁設置(RC)
    鉄骨ブレース補強
  • 小糸工業㈱本社工場2号棟耐震補強

    耐震補強
    所在地
    神奈川県横浜市
    用途
    工場
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上4階
    延床面積
    4,695.60m2
    耐震改修工法
    耐震壁設置(RC)
    鉄骨ブレース補強
  • LSビル

    耐震補強
    所在地
    東京都品川区
    用途
    事務所
    構造
    鉄骨鉄筋コンクリート造
    階数
    地上8階
    延床面積
    8,660m2
    耐震改修工法
    耐震壁設置
    制振ブレース
  • 人形町ビル耐震改修

    耐震補強
    所在地
    東京都中央区
    用途
    事務所
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上7階、地下1階
    延床面積
    4,791.09m2
    耐震改修工法
    耐震壁設置
    ピン工法ブレース新設
  • 東区役所庁舎耐震改修

    制震補強
    所在地
    広島県広島市
    用途
    事務所
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上5階
    延床面積
    6,581m2
    耐震改修工法
    耐震壁設置(RC)
    制振ブレース(トグル工法)