日本伝統建築の修復

国指定重要文化財 旧呉鎮守府司令長官官舎

保存修理復元工事(広島県呉市)

現在の建物は、明治38年に地震で倒壊したため、その資材を利用して建てられたものです。桜井小太郎氏の設計による正面側の洋館部と奥側の和館部から構成されています。
戦後から昭和31年まで駐留軍の司令官官舎として使用され、昭和41年に呉市に引き継がれました。
平成4~7年の3ヶ年計画で、建築当初の姿に修復・復元を行いました。

    建物規模

  • 木造平屋建
  • 延床面積:549.06m2
  • 国重要文化財:平成10年12月25日指定

離れ座敷柱継木

腐朽の激しい木材は、継ぎ足し、取り替えを行いました。 修復工事の補足材は、「平成6年度修補」と烙印を押して使用しました。

外壁復元

駐留軍の司令官官舎時代に、外壁が白ペンキで塗り重ねられました。 幾重にも塗り重ねられたペンキを溶解剤、ケレンにより剥ぎ落とし、洋館部の木部は建築当時のペンキ、和館部の木部は古色塗りを施しました。

内部復元

駐留軍の司令官官舎時代に洋館部内壁はペンキで塗られ、和館部は木部をニスで塗られていました。 木部は外壁と同様に、ペンキを溶解剤、ケレンにより剥ぎ落とし、洋館部の木部は建築当時のペンキ、和館部の木部は古色塗りを施しました。

客室壁に使用された金唐紙(増岡組 呉市入船山記念館改修工事記念より)
ペンキの下から表れた金唐紙

金唐紙

金唐紙の上にもペンキが塗られていましたが、部分的に針などによりケレンし、当時の金唐紙を露出させました。 この度の復元工事では、露出した部分をもとに新たな金唐紙を製作しました。