国指定重要文化財である「宝蔵」の屋根の檜皮葺の葺き替えと、木部の修繕工事を平成27年7月から平成28年3月にかけて行いました。宝蔵は室町時代の造営とされ、断面が五角形の木材による校倉造(あぜくらづくり)が特徴的な建物です。
校倉造は調湿機能に優れている為、長年に亘って国宝平家納経をはじめとする嚴島神社の宝物が収蔵されていました。
-
施工前
2015年(平成27年)1月 -
素屋根
2015年(平成27年)8月 -
完了
2016年(平成28年)4月
屋根工事【檜皮葺き】
宝蔵は寄棟屋根となっています。一般の屋根なら軒先から棟まで角になる部分を、扇型の檜皮を用いて滑らかな4本の曲線を作っています。
-
檜皮葺の葺替
日本伝統技術
外壁木工事
柱(束)、下台輪(大引)の部材は大断面の松材(柱で60cm角程度)を使用しています。
校倉造による壁の断面は、積み重ねることによって、内壁は平面、外壁側は三角形に見えるようになっています。
矧木・埋木修理
目視と打診により、不良個所を見つけ、新しい同材の木材で矧木(はぎき)により補修します。
矧木された材料は、古色塗により周囲の古材と調和がとれるように着色します。
軒裏の垂木に多くのクマバチの巣跡がありました。その巣穴はカシの木の木栓(硬くて収縮が少ない)により埋木を行いました。
-
束・大引の大断面替
-
矧木修理
-
矧木の着色
-
クマバチ巣穴埋