プロジェクト1
国宝 嚴島神社本社外災害復旧工事
平成3年9月27日の台風19号上陸の際、風速が最大となった19時過ぎに、弥山山頂付近から吹き下ろした強風により左楽房の屋根が剥がれ倒壊したのに続き、強風による波や高潮が社殿を襲い、各社殿、建築物は多大な被害を被りました。
毎年270万人の参拝者が訪れる嚴島神社では一刻も早く一般参拝を可能にしなければならず、被災の翌日から諸調査と修理工事の準備が行われ、平成3年10月1日に工事に着手しました。国宝建築物の再現という面もあり、工事は慎重の上にも慎重を重ねましたが、迅速さも要求され、息つく間もなく廻廊から本社祓殿へと進んでいきました。
同年11月には一般参拝が可能となりましたが、更にその後も修理工事は広範囲に渡って続けられ、そして平成4年4月15日に左右楽房の工事も終わりました。
被災状況
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客神社祓殿
波除、床板の流出及び高欄の倒壊。 -
西廻廊
廻廊床板が流出し、全体が定位置より横へ移動。檜皮葺屋根も飛散した。 -
本社祓殿
床板が浮上移動散乱し、床下の根太、束が破損した。 -
平舞台
平舞台、火焼前の床板が浮上横移動し、床下石柱が倒壊した。 -
左門客神社
床板浮上による玉殿の倒壊及び屋根檜皮葺の飛散。 -
右楽房
床板浮上、流出、散乱と屋根檜皮葺飛散。(左楽房は全体が倒壊流出した。) -
高舞台
平舞台の移動に伴うねじれ、移動及び高欄と上り段の破損。 -
東回廊
床板の部分的な流出と屋根檜皮葺の飛散。 -
揚水橋
高潮により浮上移動した。
修理工事
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1.1991年(平成3年)10月5日~
本社祓殿根太点検。 -
2.根太の補強・取替
本社祓殿修理後の根太。 -
3.平舞台床下工事
平舞台の移動を修正したのち、10月9日、倒壊した石柱を立て直した。 -
4.平舞台床板貼直し
くさびを入れ、床の間隔を揃えた。 -
5.右門客神社修理
同時に右楽房の修理工事を行い、左楽房、左門客神社はこの後工事に入った。 -
6.修復後の嚴島神社社殿