プロジェクト 2
重要文化財 嚴島神社能舞台災害復旧工事
能舞台は、主柱、柱頭の隅柄の破断、柱脚部の足固め貫の折損、繋虹梁の折損により全倒壊に近い被害を被りました。
当日、弥山登山道、大聖院ルートに沿って吹いた強い南風を受け、屋根が時計回り逆方向によじれて落下したとされています。
また、この力が橋掛りを通じて能楽屋にも伝わり、柱に通されている貫材が折れ、橋掛りと同時に能楽屋も壊滅的な被害を受けました。復旧工事は本社社殿とほぼ同時に取り掛かり、散乱した各部材に番付札を付け、それをパズルの様に組み合わせていく形で進みました。文化財建造物保存技術協会による古材の調査も行われ、使用可能な古材は全て修復されました。
また、今回は砂州上で移動しやすい礎石の下にコンクリートを打設しました。
全壊に近い形になった重要文化財を往時の様に復旧させるという工事には、多くの技を集大成させる必要があり、全ての工程に慎重に取り組みましたが、工事を完了した平成6年3月31日は、工事開始から実に2年余りが経過していました。
被災状況
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能舞台
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橋掛り
倒壊流出している。 -
解体工事
1991年 (平成3年)10月22日~
崩壊した各部材に一つずつ入念に番付札を付け、解体収納していった。
能舞台修理工事
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1.古材の調査
文化財建造物保存技術協会による古材の調査を行った。 -
復元のきかない部材を新調するために材料を用意し検査が行われた。 -
2.古材の修理
蟇股の修理を行っている。 -
3.能舞台足場組立
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4.地鎮祭
1992年(平成4年)10月22日
神官による地鎮祭が執り行われた。 -
5.現地建て方
1992年(平成4年)10月26日〜 -
6.上棟式
1992年(平成4年)11月20日 -
7.床組み工事
能舞台の特色である五角形の根太が見える。 -
8.屋根檜皮葺
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9.棟瓦の取付
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10.床板貼り
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11.鏡板再現
鏡板は破損が激しく再使用できないため、 従来と同じように再現された。
橋掛り修理工事
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1.橋掛り組立
能舞台と同様に補修された古材と新材が使われた。 -
2.橋掛り檜皮葺工事
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3.橋掛り屋根棟瓦取付
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4.床板貼り
能楽屋修理工事
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1.能楽屋解体作業
能舞台の解体と同時に行った。 -
2.古材調査、仮組
解体された古材は作業所に集められ、調査のうえ仮組を行った。また一部使用不可能なものは新調された。 -
3.小屋組
ほとんどが古材のため現地隣接地で仮組のうえ調整された。 -
4.建て方工事
梁の丸太が見えている。 -
5.屋根柿葺
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6.棟瓦取付
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7.正面入口建具
破損箇所を修理して使われた。